ブログ
難病を中国鍼で治すには?
難病を中国鍼で治すには?北京の病院では?
難病を中国鍼(中国伝統鍼灸)で治す、あるいは改善を試みるという考え方には一定の可能性がありますが、限界や注意点も大きいです。以下、現状・課題・北京の状況・実際に検討すべきステップなどを整理してお伝えします。
「難病」「中国鍼」で注意すべきこと
まず、「難病」という言葉は非常に広く、原因や進行の速さ、組織の壊れ方(可逆か不可逆か)、遺伝性か取得性かなどが異なります。鍼灸が有効な病態とそうでない病態があります。
鍼灸は主に「症状の緩和」「生活の質向上」「疼痛やしびれの軽減」「神経の機能改善や血流増進」「筋・腱・軟部組織の動きの改善」などで効果を発揮しやすい。
一方で、進行性・不可逆的な組織破壊(例:高度な神経細胞死、遺伝性の器官欠損、ガンのような腫瘍)などは、鍼だけで「根治」するのは非常に難しい。現代医学(薬物療法、手術、遺伝子治療、免疫療法など)が不可欠なケースが多い。
だから、「治す」という言葉の意味を明確にしたほうがいいです。例えば「完全に症状がなくなる」「進行を止める」「少し改善する」「痛みを軽くする」「薬を減らす」など、目的によって現実性が異なります。
北京での現状:どこでどんな取組みがあるか
中国(特に北京)では、難病や複雑な神経疾患・免疫疾患などに対して中医・鍼灸を含めた統合医療を提供している病院がいくつかあります。以下、代表的な機関と特徴を挙げます。
病院・機関名 特徴/取り組み内容
中国中医科学院望京医院(針灸・神経内科) 神経内科疾患を多く診る中で、針灸科も神経疾患の症例が豊富。疑難・重症例にも関与している。
wjhospital.com.cn
北京中医医院(首都医科大学附属など) 「帕金森病」の専病門診を持っており、鍼灸による症状の緩和・運動機能改善の報告があります。
北京市卫生健康委员会
北京母健疑難病研究院/北京傳承中医医院 疑難病を対象に、中薬と鍼灸を組み合わせ、病の根源を探りながら治療を行おうという研究機関。
中国新闻
北京中医医院の针灸中心 学術研究に積極的で、臨床研究を発表(例:顎関節障害〔TMD〕など)し、鍼灸の有効性を科学的データで示そうとする動きがあります。
新浪网
+1
また、中国政府も最近、希少疾患(rare disease)について診断・治療のガイドラインを整備しつつあり、患者フォロー・管理の制度も少しずつ強化されてきています。
中国政府网
+1
鍼灸を使って治療を試みる際のステップ・ポイント
もしあなたが「難病」に対して中国鍼を利用したいと考えるなら、次のような手順・注意点を考えるとよいでしょう。
診断を正確にする
どの難病かを確定診断すること。原因・進行度・不可逆性の有無を理解する。西医の診断・検査結果を持つことが非常に重要。
治療の目的を明確に設定する
・改善の目標は何か(痛みの緩和、運動機能の向上、進行を遅らせるなど)
・どの程度の改善を期待できるか(過度な期待はトラブルの元になる)
専門性のある医師・病院を選ぶ
・鍼灸だけでなく、神経内科、免疫科などと連携しているところ
・症例数が多く、研究実績を持つ医師がいるところ
・学会発表や臨床試験で鍼灸のデータを出している機関
治療計画を立てる
・鍼灸の頻度や期間
・補助的な治療(中薬、理療、運動療法、リハビリテーションなど)を組み込むかどうか
・副作用や合併症のリスク管理
モニタリングと評価
・定期的に症状を写真・動画・客観的指標で記録する
・進行が悪化していないか、他の治療(西医)的に介入が必要かどうかをチェックする
法的・倫理的な注意
・過度な宣伝に注意する
・「治る」と断言している広告や情報には慎重になる
・治療費・保険の適用可否を確認する
現実的な限界
鍼灸は補助療法としては多くの難病で有望だが、「根本的治癒」の保証はない。
遺伝性疾患・重度の器官変性疾患などでは、鍼灸だけでは十分でないことが多い。
科学的なエビデンスがまだ十分でない難病も多く、治験・臨床研究が進行中のものが多い。