顔面神経麻痺
顔面神経麻痺に対する鍼治療では、主に手足の陽明経や少陽経などの経穴が用いられます。
経穴は、病状の進行段階(急性期、停滞期、回復期)に応じて病態の鑑別に基づいて選択されます。よく用いられる経穴には、合谷経、易風経、臥倉経、頬軟骨経などがあります。 顔面神経麻痺に効く鍼灸ポイントはどこですか?
発症後7日以内に起こる急性期は、風を払い、経絡を解くことに重点が置かれます。この段階では、顔面筋の動きが突然停止し、患部のまぶたが完全に閉じなくなり、口角が著しく曲がります。
鍼治療では、主に浅い鍼を刺して優しく刺激し、患部の合谷、易風、楊白などのツボを刺激します。合谷は手陽明経のツボで、顔面の気血の流れを整えます。易風は少陽経のツボで、風の病原菌を払い、臥倉と頬軟骨は他のツボと組み合わせて、口角の曲がりを改善します。 発症後8日目から17日目までは停滞期であり、病状は安定しますが、症状は持続します。治療は病因の除去と経絡の閉塞解除、局所的な経穴の刺激の増加に重点を置きます。基本的な経穴に加えて、紫白、迎香、千正も用いられます。紫白は足陽明経に属し、眼瞼機能の回復を促進します。迎香は鼻腔を清め、ほうれい線の浅化を改善します。千正は顔面神経麻痺の治療に特化した追加の経穴です。 18日目から40日目までの回復期は、気血の補填に重点を置きます。
患側の泉寮(せんりょう)と下関(かかん)の深鍼に加え、足三里(すさんり)などの遠位の経穴にも鍼を刺します。泉寮は手の太陽経絡にあるツボで、顔面筋の緊張を調整します。足三里は脾臓と胃を強化する重要なツボで、気血の補填に効果があります。回復が早い患者様は23日目頃に顕著な改善が見られますが、回復が遅い患者様は15日間以上の継続治療が必要になる場合があります。 発症したら速やかに医師の診察を受け、自己鍼灸は避けてください。治療中は顔を温かく保ち、冷たい風に直接当たらないようにしてください。急性期には温罨法が推奨され、回復期には患部の筋肉を適度にマッサージすることができます。辛い食べ物や刺激の強い食べ物を避け、軽い食事が推奨されます。40日以上経過しても回復が見られない場合は、他の原因を除外するために更なる評価が必要です。鍼治療は専門医の診察を受け、個々の症状に合わせてツボの組み合わせを調整する必要があります。
難治性顔面麻痺に対する足三里経穴の灸と鍼治療の臨床観察
中国鍼灸
まとめ:
目的:難治性顔面神経麻痺の治療において、足三里(S36)への灸鍼療法による「経絡感覚伝達」の臨床効果を観察する。方法:患者60名を無作為に足三里灸鍼療法群(実験群)と従来治療群(対照群)に分け、それぞれ30例ずつ行った。対照群は、合谷、太衝、頭囲の経穴に灸鍼療法を受けた。実験群は、対照群の経穴に加えて足三里にも灸鍼療法を受けた。患者は、鍼に沿って温感を感じ、経穴の深部に伝わる感覚があると評価された。結果:実験群の総有効率は93.3%で、対照群の76.7%を有意に上回った(P < 0.05)。実験群において、経絡に沿った感覚伝達を経験した患者の総有効率は100.0%であり、経絡に沿った感覚伝達を経験しなかった患者の80.0%を有意に上回った(P < 0.05)。結論:「経絡に沿った感覚伝達」を刺激する足三里灸鍼療法は、難治性顔面神経麻痺の治療に有効であり、広く応用する価値がある。