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椎間板がヘタってくると若くても腰痛になる!
高齢化に伴って椎間板がすり減る(ヘタる)と、腰痛になりやすくなります。
これは「加齢性変化」によるごく自然な現象ですが、仕組みを理解すると予防や対策がしやすくなります。
以下、専門的な内容もわかりやすく解説します。
🔹1. 椎間板とは?
椎間板(ついかんばん)は、背骨(脊椎)の骨と骨の間にあるクッションのような軟骨組織です。
役割は主に3つ:
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衝撃吸収(クッション機能)
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背骨の可動性(曲げ伸ばし・ねじり)
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重力の分散(上半身の体重を支える)
構造的には、
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外側が「線維輪(せんいりん)」という硬い輪っか
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内側が「髄核(ずいかく)」というゼリー状の物質
からできています。
🔹2. 加齢で椎間板が“ヘタる”仕組み
年齢を重ねると、椎間板は次のように変化します:
加齢変化 | 内容 |
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水分が減る | 髄核の含水量が若年期は80%程度 → 高齢では60%以下に低下 |
弾力が失われる | クッション性がなくなり、衝撃を吸収できない |
厚みが減る | 椎間板の高さが低下し、骨同士が近づく |
ひび割れが生じる | 線維輪が脆くなり、小さな亀裂が入る |
骨の変形(骨棘) | 椎間板のすり減りを補うため骨がトゲ状に変形する |
この状態を**「椎間板変性(ついかんばんへんせい)」**と呼びます。
🔹3. 椎間板変性が腰痛を起こすメカニズム
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神経への刺激
椎間板の亀裂や変形が周囲の神経終末を刺激し、痛みを感じます。 -
関節や筋肉への負担増加
クッション機能が弱まるため、椎間関節や筋肉が代わりに負担を負い、炎症やこりが起こる。 -
姿勢バランスの崩れ
椎間板が薄くなると、背骨の並び(アライメント)が乱れ、腰への負担が偏る。 -
神経圧迫
椎間板が突出すると、神経根を圧迫して坐骨神経痛を発症。
🔹4. 症状の特徴
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腰の重だるさ・こわばり感
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朝起きたときに痛いが、動くと少し楽になる
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長時間立つ・座ると痛みが強くなる
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くしゃみや前屈みでズキッと痛むことも
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進行すると**下肢のしびれや痛み(坐骨神経痛)**が出る場合も
🔹5. 関連疾患(加齢性椎間板変性から発展するもの)
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腰椎椎間板ヘルニア:突出した椎間板が神経を圧迫
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腰椎すべり症:椎間板が潰れ、骨が前後にズレる
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腰部脊柱管狭窄症:神経の通り道が狭くなる
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椎間関節症:関節への負担増加で炎症が起こる
🔹6. 対策と予防法
椎間板の老化を「止める」ことはできませんが、進行を遅らせる・症状を軽くすることは可能です。
💪 体のケア
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体幹筋(特に腹横筋・多裂筋)を鍛える
→ 椎間板にかかる圧力を減らす -
ストレッチ(ハムストリング・腰背筋群)
→ 筋肉の緊張を和らげ、血流改善 -
正しい姿勢を意識する
→ 猫背や反り腰は椎間板への負担増 -
ウォーキングや軽い運動
→ 椎間板は「動くことで栄養を受け取る」組織
🛠 生活習慣の工夫
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長時間座るときは腰にクッションを当てる
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重い物を持つときは膝を曲げて持ち上げる
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体重を適正に保つ(肥満は椎間板圧を増加させる)
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喫煙を控える(ニコチンで椎間板の血流が悪化)
🔹7. 医療的対応
痛みが強い場合やしびれが出る場合は、
整形外科で以下のような治療が行われます:
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消炎鎮痛薬(NSAIDs)
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理学療法・運動療法
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牽引・温熱療法
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ブロック注射
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(重症例)手術(椎間板切除・固定術など)
🔹まとめ
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高齢化に伴い椎間板の水分・弾力が減る → 腰痛の原因に
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椎間板が「ヘタる」と、関節・筋肉・神経に二次的な負担が発生
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運動・姿勢・筋力維持で進行を抑えられる
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早期にケアすれば、慢性腰痛や神経痛を予防できる